加藤コウです。
早期退職で得られるメリットの一つとして、
- 早期退職の場合のみ適用される割増金
があります。
一般的な定年退職と違って、早期退職応募者を促すために会社側が退職金を特別加算して支給してくれるものです。
私も47歳で早期退職した際には早期退職割増金が提示されましたので、思わず早期退職してしまいました。
とはいえ、「たくさんのお金を一時的に受け取る」ということは、そのぶん税金をたくさん払わなければなりません。
そこで、ここでは早期退職優遇制度でもらえる割増金にかかる税金と節税対策、そして2026年から変わった制度改正の重要ポイントについてまとめました。
早期退職優遇制度とは?
早期退職優遇制度とは、
定年前に自らの意思で退職する者を退職金などの面において優遇する人事制度
です。
早期退職優遇制度が適用されるのは、一般的には「会社の定める年齢以上かつ一定年数勤務以上の者」です。
私が在籍していた会社では、早期退職募集の条件は「40歳以上、勤続5年以上」が一つの規定ラインになっていました。
通常の退職時に支給される退職金においても言えることですが、「退職金には必ず税金がかかる」ことになっています。
退職金にかかる税金は「所得税」と「住民税」で、通常の給与所得とは別に課税されます。
ただし、退職の仕方によっては税金が大幅に軽くなる——いわば節税が可能です。
退職時にかかる税金の仕組み
退職金にかかる税金の計算には「退職所得控除」という制度が使われます。
長年の勤務に報いるための制度で、勤続年数が長いほど控除額が大きくなる仕組みです。
退職所得控除額の計算式(2026年現在)
【勤続年数20年以下の場合】
40万円 × 勤続年数(最低80万円)
例)勤続15年なら 40万円 × 15年 = 600万円
【勤続年数20年超の場合】
800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
例)勤続25年なら 800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円 例)勤続30年なら 800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円
なお、勤続年数に1年未満の端数がある場合は、1年に切り上げて計算します(例:21年2か月→22年として計算)。
退職所得の計算式
退職所得控除を差し引いた後の課税対象額は、さらに2分の1になります。
(退職金の総額 - 退職所得控除額)× 1/2 = 課税退職所得
この課税退職所得に対して所得税と住民税が計算されるため、通常の給与所得と比べて大幅に税負担が軽くなります。
具体例:勤続21年で退職金1,000万円の場合
- 退職所得控除額:800万円 + 70万円 × 1年 = 870万円
- 課税退職所得:(1,000万円 - 870万円)× 1/2 = 65万円
- 所得税:65万円 × 5% = 3万2,500円(税率は課税所得による)
退職金1,000万円に対して、所得税がわずか3万円台というのがいかに優遇された制度かがわかります。
⚠️ 【2026年からの重要な制度改正】iDeCoや確定拠出年金に加入している方は要注意
iDeCoや企業型確定拠出年金(DC)を利用している方は、2026年からの制度改正を必ず確認してください。
「5年ルール」が「10年ルール」に延長された
これまでは「5年ルール」と呼ばれ、iDeCoや企業型DCの一時金を受け取った後、5年以上間隔を空けて退職金を受け取れば、それぞれに退職所得控除をフルに適用できていました。
しかし2026年1月1日以降、この調整期間が**「10年」に延長**されました。
つまり、iDeCoの一時金を受け取った後10年以内に会社の退職金を受け取ると、勤続年数が重複している分の控除額が減額調整される可能性があります。
具体的な影響イメージ:
- 60歳でiDeCo一時金を受け取り→65歳で退職金を受け取る場合 → 旧ルール(5年超):それぞれにフルで控除OK → 新ルール(10年未満):退職金の控除額が減額される可能性あり
iDeCoや企業型DCに加入している方は、退職金との受け取りタイミングを事前にシミュレーションしておくことを強くおすすめします。
早期退職割増金の税金払戻しは意外にオイシイ
早期退職をした年の確定申告では、それまでに税金を払いすぎていた場合でも、払い戻しの対象になります。
「会社の言うとおりに税金を納めていたら、実は払いすぎていた」という人が多いのも事実です。
源泉徴収された税金を最初から自分で確認することも重要ですが、制度やお金のことは難しくてわからないという人も多いはず。
ですから、少なくとも早期退職割増金で一時所得が増えた時は、必ず確定申告をしてください。
あなたの想像以上に税金の払戻しがあると思いますよ。
「退職所得の受給に関する申告書」は必ず提出すること
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、会社側が税額を正確に計算して源泉徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。
逆にこの申告書を提出しないと、退職金の総額に対して一律20.42%が源泉徴収されてしまいます。
退職所得控除が適用されないため、大幅に余計な税金を払うことになります。
退職が決まったら、まずこの申告書の提出を忘れずに。
早期退職割増金、その他の注意点
退職金を考えるにあたって、在職中に加入していた社会保険が国民健康保険に変わることも覚えておかなくてはいけません。
社会保険では会社と折半で支払っていた保険料が、国民健康保険では全額自己負担になります。
また、住民税や保険料などは退職後も支払わなくてはいけないのですが、これを忘れてしまっている人がいます。
納税通知書が届いてハッと思い出すのでは遅すぎる場合もあります。
早期退職後の支出をあらかじめ試算しておき、退職割増金の節税対策とあわせて準備を進めることが大切です。
まとめ
- 退職金には「退職所得控除」があり、勤続年数が長いほど控除額が大きくなる
- 勤続20年以下:40万円×勤続年数、20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
- 控除後の課税対象はさらに1/2になるため、税負担は非常に軽い
- 2026年からiDeCoとの併用ルールが「5年」→「10年」に変更。受け取り順序・タイミングに注意
- 「退職所得の受給に関する申告書」は必ず会社に提出すること
- 早期退職した年は確定申告で税金の払戻しが期待できる
※本記事の税制情報は2026年3月時点の内容をもとにしています。税制は改正される場合があります。個別の税務については所轄の税務署または税理士にご相談ください。
セカドリ 
