改正入管法の規定変更内容や抜け道などをわかりやすくまとめてみた

外国人の不法入国や不法滞在の外国人を収容する施設での長期収容が問題となっていた入管法(出入国管理及び難民認定法)。

この入管法が改正され、令和5年6月9日に成立し、同月16日に公布されました。

そして、送還停止効の例外規定の創設、罰則付き退去命令制度の創設、収容に代わる監理措置制度の創設、在留特別許可の申請手続の創設などについては、令和6年6月15日までに施行されることとされています。(出入国在留管理庁HPより引用

とはいえ、具体的にはどんな問題があったのか、知らない人が多いように思います。

そこで、ここでは、今までの入管法の問題点や改正入管法の規定変更内容、今後の課題となる抜け道などについてまとめました。

今までの入管法の問題点とは?

これまでの入管法にはいくつかの問題が指摘されています。これらは主に、法律の適用方法、人権の保障、施設の運営に関するものです。具体的には以下のような問題があります:

1.難民認定が難しい

日本で難民と認められる人が少ない。本当に保護が必要な人も認められないことがある。

2.長く施設にいさせられること

不法滞在などで捕まった外国人が、長期間施設に留め置かれる。施設の状況や健康への配慮が足りないとされる。

3.健康ケアが十分でない

施設内での医療サービスが不足していて、病気の人が適切な治療を受けられないことがある。

4.送還の方法がわかりにくい

国に戻されるプロセスが透明ではなく、どのように決められているのかが明確でない。

5.法務大臣の権限が大きい

日本に残れるかどうかを決める法務大臣の判断が、一貫性がなくわかりにくいことがある。

6.人への思いやりが足りない

特に家族を持つ人や子供に対して、もっと優しい対応が必要だと言われています。

これらの問題に対して、今回の改正入管法は次のような改善が試みられていますが、実際にどれだけの問題が解決されるかは、これから見守る必要があります。

また、新しい法律が別の問題を起こすかもしれないという心配もあります。

改正入管法の変更ポイント

2023年6月9日に成立した改正入管法により、難民申請中の外国人の送還に関する規定が変わりました。

以前は、申請期間中の送還が基本的に許されなかったのですが、改正法では、3回目以降の申請を行う外国人に対し、特別な理由がなければ祖国への送還が可能となりました。

この変更は、無制限に難民申請を繰り返し、送還を避ける事例に対処するために導入されています。

また、戦争や紛争から逃れてきた外国人(例えばウクライナからの避難民など)に対しては、「補完的保護」の枠組みにより入国が許可されるようになりました。

そして、送還を妨げる行為を行った者に対する罰則の設定も新たに行われています。

なお、入管施設での収容に関しては、3ヶ月ごとの見直しを行うこととされ、収容された外国人が施設外で生活できるようにするための「監理措置」制度が新設されました。

この制度では、支援者や家族などが「監理人」として指定され、その監督のもとでの生活が認められるようになります。

改正入管法の3つの柱

他にも、改正入管法については、いくつかの重要な改正点があります。

主に、外国人の退去強制、難民の認定、および送還忌避問題です。

1.外国人の退去強制

不法入国、不法残留、不法就労、または刑法で定める犯罪を行った外国人は、日本の法律により強制的に国外退去させられることが原則です。

ただし、退去の判断にあたっては、個々の事情を考慮し、例外的に在留を特別に許可する場合もあります。

例外的に在留を特別に許可する場合は、通常、外国人の個人的な状況や人道的な理由に基づいて判断されます。

これには、家族状況の考慮、健康状態、日本国内での生活基盤の有無、帰国した場合に受ける可能性のある危険や迫害のリスクなどが含まれることがあります。

たとえば、日本人の配偶者がいる、日本で生まれ育った子どもがいる、または祖国に戻れば身の危険があるといった状況の人が、特別に在留許可を受けることが考えられます。

具体的な在留特別許可の申請プロセスや判断基準は、法務省や出入国在留管理庁の公式ウェブサイトに詳細が掲載されています。

なお、在留特別許可は、厳格な審査のもとで個別の事情を考慮して決定されるため、同様の状況にある全ての申請者が許可を受けられるわけではありません。

2.難民の認定

1981年の「難民の地位に関する条約」および1982年の「難民の地位に関する議定書」への加入に基づき、難民申請があった場合には審査が行われ、難民と認定された場合には、原則として定住者の在留資格が許可されます。

なお、難民に該当しない場合でも、人道上の配慮を理由に日本への在留が認められることがあります。

3.送還忌避問題

退去を強制されるべき状況にありながら、退去を拒む外国人(送還忌避者)への対応が強化されました。

具体的には、送還を避けるために難民申請を繰り返す行為に対して、厳格な規制が設けられたのです。

これまでは難民認定申請中の外国人は原則として送還されないというルールがありましたが、改正法では3回目以降の難民認定申請に対しては、特に相当な理由が認められない限り、申請者を祖国へ送還することが可能になります。

この改正は、特に繰り返し難民認定申請を利用して日本での滞在を不当に延長しようとする事例に対処するために導入されたものです。

たとえば、不法就労やその他の理由で退去させられるべき外国人が、送還を避けるために難民申請を繰り返すケースに適用されます。

これにより、日本での不法滞在を防ぎ、入管制度の公正な運用を図ることが目指されています。

さらに、送還妨害行為に対する罰則が新設されたことも重要な点です。

具体的には、送還時に暴れる、大声を出すなどして航空機への搭乗を拒否されるような行為を行った外国人に対して、法的な制裁が加えられるようになりました。

これにより、送還プロセスの円滑化が図られ、送還忌避者への対応がより効果的に行えるようになることが期待されています。

改正入管法に関連する具体的な罰金や拘留などの刑事罰の詳細は、法律の条文や適用される具体的なケースによって異なります。

一般的に、不法就労や偽造旅券の使用、不法入国など、入管法違反に対しては以下のような罰則が設けられています。

1.不法就労

日本での不法就労に対しては、外国人本人だけでなく、不法就労を助長した雇用主にも罰則が適用される場合があります。

具体的には、外国人本人には懲役刑や罰金刑が、雇用主には罰金刑が科されることがあります。

2.偽造旅券の使用

偽造された旅券や他人の旅券を使用して入国しようとした場合、懲役刑や罰金刑が科されることがあります。

3.不法入国

日本への不法入国を試みたり成功させたりした場合、懲役刑や罰金刑が科されます。

4.送還妨害行為

改正入管法における新たな規定として、送還を実施する際に航空機内で暴れるなどして送還を妨害する行為に対しても罰則が設けられています。

具体的な罰則内容については、改正法の条文で明確にされていますが、一般的には懲役刑や罰金刑が考えられます。

これらの罰則は、法令に違反した行為の性質や重大性に応じて適用され、法的な手続きを経て判決が下されます。

ただし、具体的な罰金額や懲役期間などの詳細は、法律の規定や個々の案件における裁判所の判断によって異なります。

これらの改正は、日本での外国人の在留管理をより適切に行うため、また難民認定制度の運用の公平性を確保するために必要とされています。

改正入管法は、日本における外国人の在留管理や難民対策に関する重要な法律であり、その運用には引き続き注目が集まっています。

改正入管法の抜け穴は

改正入管法においては、難民認定手続きの見直し、送還制度の強化、監理措置の導入など多くの変更が行われました。

これらの改正は、制度の濫用を防ぎつつ、人道的な配慮を踏まえた運用を目指しています。

しかし、法律には必ず解釈の余地があり、特定の権限に関しては、その運用において「抜け穴」と捉えられる可能性がある場合もあります。

例えば、法務大臣の裁量権に関しては、特に注目されるポイントです。

改正入管法では、難民でないと判断された外国人でも、人道的な理由により日本に在留することを特別に許可できる権限が法務大臣に与えられています。

改正入管法における「人道的な理由により日本に在留することを特別に許可できる権限」は、法務大臣が個々の外国人の特定の状況や事情を考慮して、通常の在留資格に該当しない場合でも、例外的に日本での在留を許可することができる権限を指します。

この権限の適用は、以下のような状況において考慮されることがあります:

1.家族関係

日本国内に家族(特に未成年の子供や配偶者など)がいて、その家族との生活基盤が日本にある場合や、家族の健康状態や面倒を見る必要がある場合など、家族との結びつきを理由に特別な在留許可が考慮されます。

2.長期間の居住歴

日本での長期間の居住歴があり、日本社会との密接な関係が築かれている場合。

このような人々は、日本での生活に深く根ざしており、文化的、社会的にも日本に適応していると判断されることがあります。

3.人道的配慮が必要な健康状態

深刻な健康問題を抱えており、本国に帰国した場合に適切な治療を受けられない恐れがある外国人に対して、治療継続のための在留が許可されることがあります。

4.帰国時の危険

帰国した場合に迫害や深刻な人権侵害の危険があると認識される場合。

これは難民認定には至らないものの、帰国が人道的に見て困難な状況にある人々を保護するために適用されます。

これらの特別在留許可は、個々のケースに応じて慎重に検討され、日本国内での生活の安定や人道的な配慮を優先する観点から許可されることがあります。

しかし、この権限の適用には、厳密な基準と公正な手続きが求められ、法務大臣の裁量に委ねられているため、その決定プロセスの透明性や一貫性に関しては、継続的な監視と評価が必要です。

この在留特別許可制度は、一定の基準に基づいて適用されるものの、最終的な判断は法務大臣の裁量に委ねられています。

これにより、柔軟な対応が可能になる一方で、その裁量の運用についての透明性や一貫性が求められることになります。

また、難民申請の繰り返しに対する規制も改正法の重要なポイントですが、これがどのように適用されるかによっては、実際の難民が適切な保護を受ける機会を逃す恐れも指摘されています。

改正法が意図するところは、制度の濫用を防ぎつつ、本当に保護が必要な人々への対応を確実にすることにありますが、具体的な運用の中でバランスを取ることが重要です。

まとめ

改正入管法に関する「抜け穴」や潜在的な問題点は、その実施や運用の過程で明らかになることが多く、法律専門家や関連機関からの解析や批評を通じて、継続的な見直しや改善が求められます。

特に、改正入管法でも、法務大臣の裁量権に関して一定の基準が見られない場合は、多くの日本国民の反感を買うことにもつながります。

また、法律の運用においては、国際法や人権の観点からの配慮も重要であり、国内法だけでなく、国際的な基準との整合性も考慮する必要があります。

こう考えると、今回の改正入管法は始まったばかりなので、実例に応じた修正が必要となってくることでしょう。

私達日本国民はこのことを肝に命じ、どのような裁量がくだされるのか自民党政治の動向を注視し、判断していなかねればなりません。

日本国を住みやすい国にしていくのは、私達日本国民一人ひとりの持つ重要な権利(=選挙で投票すること)です。

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