加藤コーキです。
早期退職制度は決して社員が主役なのではなく、会社側から見ても会社の存続に関わる重要な実施事項です。
ここでは会社目線で早期退職制度がどのように規定されていくのかを読み説きながら、社員側はどのように対応していくべきかを考えたいと思います。
会社と社員、主と従の関係
企業活動において「社員」は非常に重要な存在であると同時に、企業活動を継続する上に於いて必要不可欠な存在です。
一方の社員にとっても、会社は自らの生活を支える上で非常に重要な「働き場所」です。
しかし会社の存続を考える場合、大きな目的として掲げられるのは
企業活動を通して利益を上げ、その利益を社会に還元することで自社の存在価値を高める
ことを理念とし使命としています。
そして会社自らの体力を高めるとともに、働く社員に対して利益を還元し、双方のモチベーションを高めていくという好循環が要求されるのです。
しかし、企業の活動は必ずしも順調に進むことばかりではありません。
- 不景気などの外的要因
- 経営者・経営陣による経営能力の問題
- 売上不振、営業不振などの内的要因
などにより、社会にも社員にも利益を還元できない状態に陥ることも少なくありません。
会社の経営不振打開策がリストラ
会社の経営不振を脱却するための方法の一つとして「リストラ」が有ります。
リストラの手法としては指名解雇や早期対象制度などがあります。
ですが、最近では
強引なリストラは労使の様々な問題が裁判に発展することも多い
ため、多くの企業に於いては「早期退職制度」で社員の自主退職者を募り、円満にリストラを行う方法が多くとられるようになっています。
会社が早期退職制度を実施する場合
会社が早期退職制度を実施する場合には、早期退職制度の規定制定に関して様々な注意をすることが重要です。
第一に早期退職制度は社員にとっては生活の糧を失うことになるため、希望者が納得できうる十分な補償が必要となります。
というのも会社側は社員を辞めさせる際には、
通常原則として会社に重大な損害を与えた場合、もしくは企業と社員が雇用契約を行う際に交わす労働協約に於いて規定される重大な過失に抵触しない限り、雇用契約の解除をすることが出来ない
ようになっていることが多いからです。
その為、会社が早期退職をにあたっては社員に不利益が生じないように、社員に対して様々な配慮を取り決める必要があります。
会社は早期退職制度を勝手には実施できない
また早期退職制度を会社が実施する場合、多くの企業はその人員や掛かる費用を予め予算化し、メインバンクなどに対して継続融資の条件としている場合も少なくありません。
その為、希望退職に応募した社員が途中でその応募の意志を翻さないように一定の条件を持たせて法的拘束力を持たせることが重要になります。
これは企業の早期退職制度実施後の運転資金を確保すること、また以後の企業の社会的信用を維持する上で非常に重要な要素となるため、合意書を作成し法的拘束力を持たせるなどの手続きが必要になるのです。
会社は早期退職制度応募者を勝手に拒絶はできない
さらに、早期退職制度に応募を行った社員に対して、企業側の意志で応募を拒絶する場合には明確な理由が必要になります。
企業側で明確な根拠が無く社員の早期退職制度応募を拒絶した場合には、「事実上の指名解雇と同等にみなされる」ため、雇用の公平性を欠くと問題にされることもあります。
このような場合には労働基準法の雇用機会均等法に抵触する恐れもあり、会社側が法的に罰せされる可能性も否定できない大きな問題となることがあるのです。
そのため、早期退職制度において募集を行う際には、応募の条件や早期退職に対する条件を事前に明確にし、その条件に反しないようにすることが重要となります。
早期退職制度の規定から応募条件を見定める
早期退職制度は経営条件を改善し企業活動を健全化するために行う企業としての苦渋の決断で有るとともに、応募する社員に対して公平性を欠くことのないようにその規定を作成することが重要です。
ですから会社側は早期退職にかかる予算などを十分に精査し、安定した実現を行うように配慮することが重要になってきます。
一方で早期退職制度に応募する社員側としては、
- 早期退職制度条件が応募側に不利な内容になっていないか?
- 早期退職をしてもその後の生活が大丈夫な内容となっているか?
を勘案して、「会社側にとってテイのいい社員首切り」とされないよう自己防衛をするしかありません。
- 早期退職制度は社員側と会社側で対応が全く異なる
- 早期退職制度に応募する社員を、会社側は意志尊重するとともに充分な処遇をしなければならない
- どちらかと言うと早期退職制度は、社員側に有利に働くことのほうが多い